着物文化の中心である京都の街には、それこそ石を投げたら着物関係の仕事の方にあたるのではないか・・？
と言われてる時代がありました。ですが、着物が簡単に身に纏える洋服にシフトしていった頃から少しづつ職人たちはその仕事から離れていくようになりました。

そんな中でも、どおしても筆を置くことが出来ない作家もいました。
着物の作家は紙に鉛筆で下描きをして何度も消しゴムを使う絵の描き方はできません。
それは昔の絵師と同じで墨と水と筆だけで覚悟の絵の描き方と同じです。

ここに描かれている絵は作家の魂を込めた水墨龍です。

龍は中国揚子江流域に現れるという想像上の生き物ではありますが、雨や風を司り天に昇る水怪と信じ崇められた霊獣でもあります。
日本でも宋の時代から禅宗で人気を博し多くの寺院の襖や天井に好んで描かれたものでした。

墨の濃淡には数えきれないほどの色数があります。でもそれは計算して出てくるものではなく、微妙な力加減と筆に含まれた水が織りなす偶然の産物でもあります。それゆえにこの世には存在しない不思議な力が宿る龍画が生まれるのだと想いたいのです。

本来なら飾る龍画ですが、ぜひ着る龍画に袖を通してみて下さい。

この商品は古布という布の骨董品を使い仕立ています。
経年による汚れや擦れ、又小傷や色褪せ等が多少あることをご理解下さい。
痛みの有る場所は出来る限りの補修はしておりますが、全てが新品のように
完璧ではございません。どうかご理解頂きお求め頂きますようにお願いいたします。